WW-4-06: Game On


The West Wing の中でもバーットレットの頭の良さがすかっと表現されていて好きな回。
先に言っておくと、シナリオライターが民主党よりでしかもかなり左寄りなので、意見としては諸説ある内容になっている。

バーットレット大統領はノーベル経済学賞を取るほどの頭脳の持ち主で、その発言が鼻持ちならならなくて、エリート主義だと非難されている。その中で迎えるディベートだ。

BARTLET:
Think the strike against me is nobody likes the smartest kid in the class?

LEO:
There’s no such thing as too smart. There’s nothing you can do that’s not gonna make me proud of you. Eat them up. (pause) Game on.
<拙訳>
バートレット;私に対する風当たりの強さは、例のクラスで一番賢い生徒は嫌われるというあれだとおもうかね?
レオ:
「賢すぎる」なんて言うことはあり得ません。(頭脳明晰なことに)あなたが何もできないということに私が誇りを持てないわけがないでしょう。蹴散らしちゃいましょう。(間)戦闘開始です。

この回はアメリカの大統領選のディベートの感じを実によく描いていて好きだ。細かいことだが、パネリストとしてリッチー(フロリダ州知事)とバートレット大統領に質問をしているのは、以前日本でも親日派の特派員としてワールドビジネスサテライトに出ていた新聞記者だ。記憶が間違っていなければ、ワシントンポスト紙だったと思う。モデレータをやる人も本当にNBCで出てくる人で、カメラのカット割りもおそらくデコレーションや演台も再選挙の予行演習ではないかと思うほど本格的だ。

PANELIST: Perhaps the biggest philosophical differences between you and the president is on the role of the federal government itself. And the national problems really have national solutions. Can you explain your view?
(略)
RICHIE: We don’t need the federal department of education telling us our children needs to learn Esperanto, they have to learn “Eskimo Poetry.” Let the states decide. Let the communities decide. Our health care. Our education. On lower taxes, not higher taxes. Now he’s gonna throw a big word at you — “unfunded mandate.” If the Washington lets the states do it, it is an “unfunded mandate.”

<拙訳>
パネリスト:おそらく知事と大統領の(政治)哲学上のもっとも大きな差は連邦政府の役割自身につい手だと思われます。そして、全国的な問題に全国的な解決策があるのか問いことです。お考えをご説明いただけますか?

リッチー知事:(略)連邦の教育省に子供がエスペラント語を学ばなきゃいけないとかエスキモーの詩を学ばなきゃいけないとか指図してもらう必要はないと思います。州やコミュニティに決めさせればいい。医療について、教育について、より低い税金について。より高い税金じゃなくね。彼は、一つ大きな単語を投げかけるでしょう。「予算が付かないけども必要なもの(Unfunded mandate)」だとね。

アメリカのディベートを見えいておもしろいのはどちらの立場でも一応筋の通ったことを言う。実は原文を読んでもらうと、非常に公式な場なのに非常に口語的な “gonna” を使ったり、知ったかぶりをしてエスペラント語やアラスカのエスキモーの詩を持ち出している。(*1) 引用しなかったが、実際の番組では、記者たちが Eskimo poetry? と疑問型で苦笑している場面が挟まれている。さらに大統領を「彼」と呼ぶのは考えられないこと。頭の悪さ全開です(笑)

(注1: エスペラント語を公用語にしようという実験はずいぶん前に失敗)

BARTLET: First of all, let me clear up a couple of things. “Unfunded mandate” is too words not one big word. There are times when we are 50 states and there are times when we are one big country and have national needs. The way I know this is Florida did not fight against Germany in World War II or establish civil rights. You think the state should be governing wall to wall, that’s perfectly valid opinion. But your state of Florida got 12.6 billion dollars in federal money from Nebraskans and Virginians and New Yorkers and Alaskans with their “Eskimo Poetry.” 12.6 billion out of the state budget of 50 billion. And I am supposed to be using this time for a question, so here it is:
Can we have it back please?

<拙訳>
最初にいくつかはっきりさせておこう。まず、「予算が付かないけども必要なもの(Unfunded mandate)」という言葉は1つの大きな単語じゃない。二つの単語だ。我々は、50州それぞれでいることもあれば、一つの国として国としてのニーズがあることもある。フロリダ州は第二次世界大戦中ににドイツ軍と戦ったわけでもない、また、公民権を確立したわけでもない。君が州は州独自に隅から隅まで政治を行うべきだというなら、それは全くまっとうな意見だと思う。しかしながら君のフロリダ州は連邦のお金の中から126億ドルも受け取っている。ネブラスカ州や、バージニア州や、ニューヨーク州はそして「エスキモーの詩」のアラスカからもね。500億ドルの交付金の中の126億ドルだ。質問に時間を使うようにと言うことだから君にいわてもらおう:

「返済したまえ」

まあ、単語が一つなんてほとんど言いがかりに近いけど、その程度も君は区別しないのかというジャブ。きちんと知事の言ったことを引き合いに出しながら、頭の中に入っている予算の数字からすっと引き出しを開いて、反撃するバートレット。これくらいは準備するものなのだろうけど、頭の回転の速さが光ります。

実は原文を見ていると難しい単語を使っているわけではないし、威厳が出るような言い回しをしているわけでもない。それでも論理展開だけで現職の大統領の重みを出している。もちろん、マーチン・シーンの演技力もあってのことだ。

実際のディベートではもっと後味の悪いことも多くあり(相手の中傷になってしまったり、どちらもそれなりに理由付けがあり甲乙つけがたかったり)すっきりしないこともあるのだろうが、そこはドラマ、これくらいすかっと勝敗がわかるディベートがあってもいい。

カテゴリー: WW-シーズン4, 引用

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