万年筆でもボールペンでもないペン


昔からある筆記具と言えば、鉛筆、ボールペン、そして万年筆だ。金色のペン先は徐々に手になじみ、書くものの好みの一本となる。合衆国大統領が使う万年筆を多く作るパーカーから、万年筆でもボールペンでもない一本が出た。

鉛筆は元々炭で字を書いていたのがその起源だ。美術を専攻される方ならパステルなどもそれに近いのをご存じだとおもう。炭はもろく崩れてしまうので、粘土を混ぜ焼き固め、記の軸に入れたものが鉛筆だ。割合値段の高い鉛筆としては、三菱鉛筆の Hi-Uni やファーバーカステルの鉛筆がある。ちなみにファーバーカステル社は世界で始めて六角形の鉛筆を作った会社で、世界で一番高い同社の鉛筆、Fabar-Castell Perfect Pencil Sterling Silver はなんと6万3千円もする。おそらく、値段のほとんどの部分は純銀製のキャップやエクステンダーの値段だったりするのだろう。

一方の万年筆は鳥の羽の先を斜めに切ってインクに浸しながら書いたのがその起源だ。私自身も知らなかったが、羽根ペンの起源はなんと 9 世紀のエジプトだそうだ。 今日私達 たちが知っている万年筆は誰か一人の発明ではない。19 世紀初頭のイギリスで鉄ペンが発明され、パーカーがスポイトを軸に仕込んでインクをためられるようにし、アメリカの保険外交員だったウォーターマンが毛細管現象を利用した現在のペン先を創り出した。歴史に「もし」はないが、もしウォーターマンが契約書にインクのシミを作って悔しい思いをしなかったら、今の万年筆はなかったかもしれない。1883 年のことだ。

世の万年筆愛好家を満足させるのみならず、歴史の様々な舞台に欠かせない小物として活躍してきた万年筆のメーカーのパーカー。その彼らが第五世代と銘打った新しいペンは名を Ingenuity という。創意工夫をその名に持つペンの書き味はどんな水彩ペンよりも軽やかだ。ごく普通の紙がまるでコーティングされているのではないかと勘違いするほどの滑らかさ。きっと長く書き続ける人には朗報だろう。

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カテゴリー: 雑学

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