世の中に「こうやったらうまく写真が撮れたよ」という話は多いが、失敗談は少ないように思う。今回は、シャッタースピードで失敗した話を書こうと思う。
カメラで写真を撮るには、シャッターを開け、一定の時間光を取り入れ、そしてシャッターを閉じる。このシャッターを開けて閉じるまでの時間がシャッタースピードだ。シャッタースピードが短ければ速く動いている物も撮りやすい一方、写真を撮るには一定の光の量が必要なので、あまり暗いところではシャッタースピードは速くできない。ISO 400 とかの数字は、カメラがどれだけ光に反応しやすいかということで、これが大きいほど速いシャッターがきりやすくなる。これを感度というけれども、その話はまたいつかさせてもらおうと思っている。
シャッタースピードは1秒の何分の一という数字で表す。例えば、1/40 秒とか、1/250 秒とかだ。最近のカメラは良くなっていて、光の条件が良ければ 数千分の 1 秒 のシャッタースピードでも撮ることができる。これは、テレビの高速度撮影カメラが出てきた頃と同じくらいの性能である。スマートフォンのカメラもかなり良いはずだが、こちらはカメラ用のアプリを立ち上げているだけで時間が経ってしまうので、シャッタースピードを書いたカタログはあまりなさそうだ。最もこれは、動画を主に考えているというのもあるだろう。
動きを思い浮かべながら写真を見ていただきたい。1/60 くらいだと宙に舞っているボールが少しぶれるくらい。弧を描いている一番上のところは、とまって見える。
また、1/800 秒位だと、遅いジェットコースターなら、止まって見える。
1/4000 秒も必要かどうかはわからないが、鳥が羽ばたく様子が羽一枚まで止まって見える。カタログだと、走っている馬が水しぶきを上げて、厨を舞う、水しぶきが一つ一つと待っているような写真になる。私にはそんな腕はないので、これくらいで許していただきたい。
カメラのシャッタースピードを遅くすることで残像ができ、写真に動きが出る。夜走っている車のテールランプの写真を見たことがある方もいらっしゃるだろう。練習もかねて、そんなことを目指してみたのは次の写真。上野駅前なので、そんなに車の数はないが、2秒と長いシャッタースピードにしたことで光跡ができている。
この写真、何枚もとったが、一枚もうまくいっていない。失敗作の中でもましな方がこの写真だ。写真を撮った時に、シャッタースピード優先にした。これは、車が移動する時間を稼ぐためだ。一方で、絞りはしぼった。これは、奥の方まではっきりとピントを合わせたかったからだ。だが、結果を見ていただきたい。どこにピントが合っているかわからない眠たい写真になっている。かろうじて見ることができるのは、少し暗めに現像したからだ。
理由は簡単だ。2秒もかかると腕が動いてしまって、しっかり持っていても多少ぶれるのだ。今のカメラはぶれ防止機能がついているが、それもある程度の許容範囲の中だけであって、その範囲を超えた物まではカバーしてくれない。残念ながら、これくらいシャッタースピードが遅い場合時には、三脚を用意すべきで、カメラをカバンから出してさっと撮る写真ではない。
考えてみれば、この手の写真は難しい。絞りをあける(f値が小さい)と後ろまでくっきりとに映らない可能性がある。また、自動で設定していると同じ感度なら絞りをあけると速くシャッターが切れてしまう。そのため、軌跡が残らなかったり、短くなったりする。逆にシャッタースピード優先であると、ゆっくりシャッターを切る設定ができる代わりに f 値が大きくなってしまうので、光がなかなか入らず、時間がかかるからぶれやすくなる。
どうも正解はマニュアルで設定して、三脚にのせ、好きなだけシャッターを開けるということのようだ。
六本木か赤坂辺りで綺麗な夜景を撮るにはそれなりの準備がいるということだ。
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