書評: 史上最強の内閣


amazon.co.jp は便利だが、アマゾンでは出会えない本もある。キーワード検索をしていたのでは、多分手に取らなかった本の一冊だ。

プロットとしては、ある内閣が手に負えない非常事態が発生し、政権を放り投げてしまう。政権を放り投げたのは実は2軍の内閣で、京都に置かれていた1軍と言われるシャドーキャビネットが活躍する。核ミサイルをぶっ放すよと脅すことだけで食料や借款を続ける某国と酷似した国との緊張関係をいったいどのようにこの「史上最強の内閣」は捌(さば)いていくのかというのが話の流れである。

ニュースや政治をよく見ている人なら思わずニヤリとしてしまう場面が各所にちりばめられ、軽い語り口ながら、「日米安全保障条約を守ってアメリカが日本を守りにくる訳がない」と切り捨て、歴史に詳しい方なら閣僚の面々とそれぞれがモデルになったであろう人の人となりからさらに楽しめる一冊。

果たして戦争は起こってしまうのか、そして戦争に向かっていく雰囲気とはどんなことなのか、二世議員や世襲議員をこき下ろす一節に溜飲を下げながらも、軽い文体とは裏腹に考えさせられるものが残る一冊。

カテゴリー: 身の回りのこと, 書評

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